お米を作る工程のうち、田植えと収穫は知っている方も多いと思いますが、それ以外のときにはどのような作業をしているのでしょうか?実はお米作りには、八十八もの作業があると言われています。
それらの作業すべてをご紹介することはできませんが、この記事ではお米作りの重要な作業をピックアップして解説します。また、収穫が終わってから次のお米作りが始まるまで、冬の間に何をやっているかについてもご紹介していきます。
目次
お米ができるまでの全体スケジュール
お米を作る全体のスケジュールをまとめたものが、以下の図になります。
ひとつずつ順番にみていきましょう。
3月・4月~種もみを準備する
土の中の虫たちがうごめき始める季節になると「種もみ」の準備が始まります。種もみとは、お米の種のことです。準備する作業だけでも、気を付けなればならないことがいくつもあります。
土壌の状態を良くする肥料をまく
良い土をつくるために、田んぼに肥料をまきます。前年に収穫した稲の切り株や刈り草、レンゲなども肥料になります。先に肥料をまいて次におこなう田起こしをすれば、土に肥料を均一に混ぜ込むことができます。
田んぼの土を掘り起こす
米作りは、田んぼの土の手入れが重要です。田植えに入る前に、田植えしやすい状態の土にするために「田起こし」をおこないます。田起こしでは、トラクターで田んぼの土を掘り起こし、土の中に酸素を入れることでやわらかくなり、田植え後の根の張りが良くなります。
5月~育苗と土壌作りをする
稲作の用語に「苗半作(なえはんさく)」という言葉があり、苗のできがよければ、米作りの半分は成功したようなものと言われています。その年の米作りの命運を握るほど、苗の管理はとても重要です。
種もみを選別する
よいお米を作るためには、よい種もみを選抜しなければなりません。よい種もみとは重たく、塩水に入れたときに沈むかどうかで判断できます。(沈んだ種もみは、良い種もみです。)
種もみを手に入れる方法には、収穫時にできのよい種もみを採取しておく自家採取と、採取農場から購入する2通りの方法があります。ライスジャパンでは、種の生産量日本一を誇る富山県庄川稲種センター様より購入しています。
種もみを消毒する
人間と同じようにお米にも病気があります。種もみが病原菌を持っていると伝染し、発芽率が悪くなったり成長を妨げたりする危険性があります。
そうした病気の伝染を避けるために、選別した種もみの消毒が必要です。種もみを消毒するには、約60℃のお湯を使う方法や種子消毒剤を使う方法があります。
種もみを水につける
種もみを水に浸ける作業を「浸種(しんしゅ)」と言います。種もみは、何もしなければ眠った状態ですので、土に植えても発芽しません。水に漬けることで種もみが目覚め、細胞分裂や伸長を始めるようになります。浸種が終わった種もみは乾燥させます。
種まきをする
お米の種まきは、いきなり田んぼに種もみをまくのではなく、育苗箱(いくびょうばこ)という薄く平たい箱でおこないます。育苗箱は例えるなら苗の保育園のようなもので、小さな苗を同時にたくさん育てるために利用します。
育苗箱に土や肥料を入れたら、均質になるように種もみをまきます。ライスジャパンで使用する土は、栄養がたくさん入った軽い土を使い生産の効率を上げています。
お米の苗を育てる
種まきをおこなってから5日ほどで、種もみが発芽し始めます。育苗日数は種まきから約15日~20日を目安にしています。この日数よりも早すぎると根の張りが悪く、逆に育てすぎると苗が老化し植え付け後の生育が悪くなってしまいます。
6月~田植えをする
田植えは、お米の品種や地域によって始める時期に違いがあります。5月から始めるところもありますが、ライスジャパンでは6月頃に田植えをおこないます。
田んぼに水をためて代かきをする
田んぼに水をためた後、土をかき混ぜ、とろとろにし、平らにならす作業を「代(しろ)かき」といいます。昔は牛や馬に鍬を引かせてましたが、今はトラクターを使います。代かきは、やりすぎると田んぼの水質を低下させ逆効果になるので、作業速度に気を付けておこないます。
田んぼにお米の苗を植える
通常は苗と苗の間隔を18cm間隔にして植えることが多いのですが、ライスジャパンではお米の種類によって21cm~24cmと広めにあけて植えます。間隔を広げると、苗への風通しや日当たりがよくなるのでお米の質が上がります。
7月~田んぼの環境を整える
田植えが終わったら次は、稲がすくすく成長できるよう田んぼの環境を整える作業をおこなっていきます。
田んぼの水量を調整する
田植え直後は、まだ梅雨があけていないため寒い日があります。苗を寒さから守るためや雑草の発生を抑えるために、土がしっかり水に浸かるよう田んぼの水量を増やします。
「水に浸かっているのに寒さから守れるって、どういうこと?」と思われるかもしれませんが、実は水には熱しにくく冷めにくい特性があり、寒さから苗を保護できるのです。気温が20℃を超えるようになると、田んぼに入れる水量を減らしていきます。
稲と稲の列の間に溝を作る
稲と稲の列の間に溝を掘って水の通路を作り、田んぼの排水をスムーズにおこなえるようにします。この溝を掘る作業は「作溝(さっこう)」や「溝切(みぞぎ)り」と呼びます。溝ができると、稲は根から土の中の養分や水分を吸収しやすくなります。
肥料をあたえる
ライスジャパンでは肥料に、米ぬかやなたね粕などが原料の有機肥料を使っています。有機肥料を使うと、微生物が有機物を分解してから稲が栄養を吸収できるようになるため、稲が少しずつ確実に養分を吸収してくれます。
ほかにも有機肥料は、微生物の働きを活発にさせるので、土壌の環境をよくする効果もあります。
7月・8月~稲を育てる
8月は台風や大雨だけではなく、害虫、雑草が増える時期になります。そうした試練から稲を守って、育てていく時期になります。
中干しをおこなう
中干(なかぼ)しとは、田んぼの水を抜いて土にヒビが入るまで乾かす作業のことです。水を抜いて乾かしては、また水を入れて、という作業を数日おきに繰り返します。中干しは、稲の根に空気を触れさせ、酸素を取り込ませるためにおこないます。
稲を病気や害虫、雑草から守る
稲の病気には、成長してからかかるものもあります。ほかにも生育を阻害する要因には、害虫や雑草があります。これらから稲を守るために、ライスジャパンでは必要最低限の農薬を使っています。
お米は農薬不使用ならなんでもいいというわけではなく、使わなければ病気や害虫によって品質が下がったり、収穫できなくなったりする可能性が高くなるのです。適切な使い方をすれば、お米の生育や品質はきちんと守ることができます。
9月・10月~収穫
いよいよ収穫まであと少しです。私たちの食卓に登場するまでに、まだいくつかの作業を経る必要があります。
田んぼの水を抜く
お米が完熟し黄金色になってきたら田んぼの水を抜き、稲と土を乾かします。収穫前に水を抜く作業は「落水(らくすい)」といいます。落水は、早すぎても遅すぎてもお米の出来が悪くなってしまうため、タイミングがとても大切です。
稲を刈る
コンバインという機械を使って収穫していきます。コンバインは稲を根本から刈り取り、稲とお米の部分の「もみ」を別々にする作業(脱穀:だっこく)を同時におこないます。
もみを乾燥させる
収穫したあとは、稲を乾燥させます。収穫したてのお米の水分量は25%~28%くらいあり、これを14%~15%くらいになるよう乾燥機にかけます。
天日乾燥がよいと言われることもありますが、ライスジャパンでは外気温と同等の温度で乾燥させます。短時間で済ませようと温度を上げるとお米が割れてしまうため、じっくり時間をかけて丁寧におこないます。
玄米にする
乾燥したお米には「もみがら」が付いています。もみすり機で、もみがらを取り、お米の粒の大きさを揃えるために「米選機(べいせんき)」という機械に通します。米選機にかけられたお米は玄米になり、この状態で袋詰めして冷暗所に保管します。
精米をおこなう
玄米のままでも食べられますが、私たちが普段食べている白米は、玄米を精米したものです。精米とは、玄米から糠(ぬか)と胚芽(はいが)を取り除く作業のことで、精米後のお米は食べやすく消化吸収もよくなります。
お米は精米直後が一番美味しいため、ライスジャパンではご注文を承ってから精米し、発送しています。
収穫から次の田植えが始まるまでの間は何をしているのか?
冬の間、生産者はどのようなことをしているのでしょうか?田んぼに稲がない冬の時期にも、やらなければならないことは色々とあります。
12月~田んぼの荒越しをする
冬も休むことなく、田んぼの土の手入れ作業があります。「荒越(あらご)し」といって、固くなった土壌を起こし土の中に酸素を送りこみます。土の中に酸素が送りこまれると微生物が働きだし、収穫後の田んぼに残る稲の根部分や茎部分を分解してくれます。
1月~次の1年の生産計画を立てる
冬の間は過去の天候データを確認しながら、次の1年に作るお米の品種や量、肥料の使い方などを計画します。田んぼの手入れも引き続きおこない、次の春に備えていきます。
まとめ
ここまでご紹介したようにお米の生産者は、天候や土壌の状態、稲の状態に日々注意を払ってお米を作っています。特に田んぼの土の手入れは稲が植わっていないときでも、こまめにおこなわないといけないのです。
このように、しっかりと土壌やお米の品質にこだわって作っているので、もちろん味にも自信があります!ライスジャパンではネットからも購入でき、ご注文をいただいてから精米し発送しているので、美味しいご飯がおうちに届きますよ。
ぜひ、ライスジャパンのお米を食べてみてくださいね。